プロローグ

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 目撃者の情報では、逃げたのは、中国語を話す若い男ら、三名。なにやら、ヤクザ風の男と言い争いをしていたというから、おそらく坂下とトラブルになったのであろう。  南署は、御堂筋に停車中の白いベンツに二真会(にしんかい)の紋章が貼ってあるのを発見し、運転席にいた男に事情を訊いた。  男は、高柳と名乗った。  はじめは反抗的な態度を取り、全く会話にならなかったが、南署の刑事から坂下が殺害されたことを聞かされると、高柳は動揺を隠そうともせず、ひどく取り乱した。  聞くところによると、高柳は、坂下の舎弟で、ここまで坂下を送り届けたという。  ここで待つように言われたが、坂下が、アメリカ村で何をしていたのかは聞かされていなかった。  当然、殺人事件に関しても、何も心当たりが無いという。
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