1.アリバイ作り

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「アリバイ工作が、生き物と関係ありますか? 全然、関係性が思いつかないんですけど」  早く本題に入って、こんな不気味な事務所からさっさと引き上げたいという気持ちはあったけど、裏社会で生き、法的にもグレーな仕事をしているフラグにも興味があり、思わず聞き返していた。 「アリバイを欲する人間は、影をもっている」  稲光が差し、フラグの顔を不気味に照らす。遅れて雷鳴がとどろいたが、フラグは全く気にせず饒舌に語る。 「じゃないと、アリバイを作りたいなんて思わない。隠したいことがあるんだ。やましいことを隠したいというのは、動物の本能だ。滑稽で、論理的でないのに、本能で隠そうとする……。本当に面白いよ。そうは思わないかい? フフフ」  芽衣は、アリバイ作りを依頼した自分がバカにされたようで、イラっときた。  フラグは、服を一枚ずつ広げて芽衣に見せ、それを重ねていく。帽子から靴まで、一式コーディネートされているようである。
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