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この町の天気は、少し変わっている。
晴、雨、そして時々──桜の花びらが降る。
ある日、春でもないのに、どこからか桜の花びらが舞い落ちてきたのだ。
すぐやむこともあれば、一日降り続くこともあった。
国は原因の究明に乗り出したが、なぜ空から桜がこの町だけに降る理由は分からなかった。
判明したのは、桜の種類だけ。
どこにでもある、ソメイヨシノだった。
金にもならず、まぁ害もないことだし。と、研究は早々に打ち切られる。
最初は物珍しさもあって町を訪れる人もいたが、徐々に人々の関心は薄れ、いつしか当たり前のものとして、受け入れられていった。
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