3.(1)ドラゴン ――龍――

1/12
前へ
/36ページ
次へ

3.(1)ドラゴン ――龍――

 『創世記』によれば、一番初めに生まれた人類がドラゴンです。  ”人類の長兄”と呼ばれる龍は、強靭な身体を持ち、聡明な知性と深い思慮を兼ね備えた、非常に霊性の高い種族です。  実際、彼らは神々に最も近い種族で、潜在的には聖霊(スピリタス)にも比肩する能力を秘めており、魔術や神々についても理解し尽くしています。  寿命も桁外れに永く、天寿があるのか否かもはっきりしません。  ドラゴンの外見は、普段は人間(ホムス)とほぼ同じです。  彼らがいわゆる龍の姿を見せるのは、“龍気”をまとった時のみです。  “龍気”というのはエクトプラズムの一種で、ドラゴンだけが持っています。  彼らが発散した龍気が物質化(疑似蛋白・骨質化)して彼らを取り巻くと、ファンタジーお馴染みのドラゴンの姿になります。  この時にはドラゴンは体高十メートル前後という巨躯と翼を持ち、飛翔能力を発揮します。  またドラゴン特有の体色と呼気(ブレス)も、この時にはっきりと解ります(めったに使いません。白銀時代でも、まだ使ったシーンはありません)。  その時以外は、ドラゴンは人間(ホムス)と全く同じ姿をしており、色を基本とする部族も判別できません。  身体的特徴も一定していませんが、彼らの容姿は総じて佳いようです。  社会的には、彼らは明確な国家を営みません。  絶対数が極端に少ないドラゴンたちは、人間(ホムス)の生活圏から隔絶された場所に小規模な集落を造り、一族で住んでいますが、中には人間(ホムス)の社会の中で、都市国家を治めている一族もいる様です。  その意味では、彼らの国家はマルタのような概念的国家と呼べるかも知れません。  しかし部族間の交流は極めて密で、神々との交感も他の人類からは想像も出来ないほど緊密です。  彼らの国家は基本的に合議制ですが、ゴールドドラゴンの長がドラゴン全体を取りまとめています。  言語に関しても、彼ら独自の言語を持っています。  アールヴの使うルーン古語の祖型である神聖ルーン古語がそれですが、人間(ホムス)そのほかの人類が使う言語についても知り抜いています。  彼らドラゴンは、龍気の姿から十の部族に分かれます。  ゴールドドラゴン、シルバードラゴン、コッパードラゴン、パールドラゴン、オブシダンドラゴンは”貴龍(ノビレス)”と呼ばれ、政治的・宗教的な役割を持っています。  一方、レッドドラゴン、ホワイトドラゴン、グリーンドラゴン、ブルードラゴン、ブラックドラゴンは”庶龍(プレぺリアス)”と呼ばれ、特別な地位にはありません。  だからと言って、金竜たちが特権階級に属しているということにはなりません(ただ、そう思っていないドラゴンもいますが)。  参考までに、彼ら人類としての(ドラゴン)は、モンスターとして現われる竜とは全く異なります。  生物学的には同じ進化の樹形図上の存在とみなされますが、それこそホモ=サピエンスと原猿類ほどの差があります。  そういう怪物ないし動物としての竜は、厳密には“ドレイク”と呼ばれます。    次項から各色のドラゴンと、主なキャラクタ、登場(予定)作品を記載します。  
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加