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トキ様と一緒に向かった白狐様のお茶会は、予想に反してテーブルでのお茶会だった。
和風な庭園を望む小部屋はダークグリーンの絨毯が敷かれ、黒に近い茶色のテーブルが置かれていた、テーブルの縁と同じ様なデザインの背もたれを持つ椅子は、肘掛けが付いていて楽な姿勢を取ることが出来るけど、淑女たるもの決してその肘掛けを使うことは許されない。
「どうぞ、お掛け下さい。」
ホストである白狐様がすんっ…とすました顔で椅子を勧めると、トキ様はどかっと音が出る位の勢いで着席し、早速二つの肘掛けを使ってふんぞり返るような姿勢を取った。
口角が上がり、ちょっと意地悪そうな笑顔になった白狐様は、ゆったりとした動きで煌びやかな扇子を開き口元を隠したけど、皮肉たっぷりのセリフが飛び出す。
「ふふっ……そなた行儀見習いで此処に居るのではなかったのか?」
うん、そうだよね。
私もトキ様の従者であるサヤさんも、その言葉を待っていたかもしれない。
礼儀作法以前にホントに十八歳の女の子なの?とトキ様見ていると心配になるのだ。
そんな事を思いながらあたしは椅子に着席する。全身黒尽くめで顔まで隠れる頭巾を被った人があたしの前に白磁のティーカップを置きお茶を注いでくれた。
「え?な……ん?」
「気にするな、ただの黒子じゃ。」
え?黒子?忍者みたいなカッコで劇の裏方みたいな仕事をするあの黒子?『初めて見た』まさか異世界で日本風の黒子を見ることが出来るとは思いもしていなかった。
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