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シスターはホントの事を聞かされてないかもしれないけれど、それでもこの世界の貴族の娘として恥ずかしくないマナーや立ち振いをこんなにも必死で教えてくれてる。
「まぁまぁね。最初に比べたら随分と良くなったわ。」
初めてダンスステップで褒められた(訳ではない)時は嬉しくてうっかり泣きそうになった。
「そこに居るんでしょ?お入りなさいハンナ!」
シスターがドアの方に向かって呼びかけ、そのドアがカチャリと開いてハンナが入ってくる。
「ど、どうして分かったんですか?」
「レッスンが終わった後も、貴女が教えていたんでしょ?ステップのクセがそっくりだったわ。」
ステップのクセ?そんなの覚えてるの?凄い鬼教官だわ……。
「カレン様……」
「はい!シスター・クレメンス何か御用でしょうか?」
「うふふ、もうレッスンは終わりよ、ハンナ?良い人にお仕えしているようですね。」
「はい!カレン様はとっても良い方です!」
「カレン様、ふつつかな娘ですがどうか宜しくお願いします。」
シスター・クレメンスは私なんかよりもっとずっとお婆ちゃんなんだけど、すっ……と伸びた背筋を優雅に倒し、お手本の様に優雅なカーテシーを見せた。
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