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理不尽過ぎる嫁入り話を承諾した途端にあたしは水牢から解放され、テーブルと椅子そしてベッドのある暖房の効いた部屋と衣服に毛布、そして温かいミルクが与えられた。
この変わり身の早さには何というか、イマイチ思考がついていかないし、悪いけどちっとも感謝する気になれない。
お家に帰りたい……
「私、今日から姫様にお仕えする侍女兼教育係のハンナにございます。」
中に光る石の入ったオシャレなデザインのランプを持参して部屋を訪れた侍女さんがあたしにそう名乗った。
「ねぇ?コレ何で光ってるの?」
テーブルに置かれた明かりはどう考えても電気コードなんか付いてないし、アルコールランプの様に何かが燃えているような感じでもなかった。
「魔光石です」
「魔光石?」
「魔石の一種で、明かりの術をこの石に封印すると、かなりの時間光り続けます。ランプとしては最適です。」
へぇ……便利だな。
その他にも、火の術を封印すると火起こしや火薬に、氷の術を封印すると食物の冷蔵に、風の術を封印すると風車や帆船の動力に──侍女のハンナさんは、魔石の持つ様々な効果で生活がとっても便利になったのだと目を輝かせて語ってくれた。
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