【Hook】 歪には熱が宿る

3/5
前へ
/47ページ
次へ
「トロトロだから指なんて簡単に飲み込んじゃいそう…」  耳元で自分の秘部がどうなっているか囁かれると、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。  何もかもがはじめてだったらよかったのに…。そう思ってしまうほど、気持ちよさをちゃんと知ってしまっている身体は、頭の中で鳴り続ける警鐘を無視するみたいに”もっと欲しい”と貪欲になっていく。 「も…、それ……やだぁ…」  もういやだと口で言っても、溢れるのは甘い声で、それが嘘だとすぐにバレてしまう。  もういやだと口で言っても、もっとと求めるみたいに足が開いてしまう。  自分の行動全てが反比例して、どうせもう逃げられないのだから、と諦めるみたいに快感を貪ろうとしている。  指で上下になぞられると、それだけで動きに合わせて声が出てしまう。 「いやなのにこんなに濡れちゃうの?」  嵐士はわざとあたしの目の前でとろっとした液体がまとわりつく指を広げて、指の隙間で糸を引くそれを見せつける。  目の前の現実を拒絶するにみたいに瞳をぎゅっと強く閉じた。  視覚を遮断した途端に”意識しろ”と言わんばかりに太ももに押し付けられた硬いモノに気づかされ、”それ”を欲しがるみたいにして中がうねって反応を示す。  あまりのはしたなさに動揺していると、今度は下着が簡単に足を抜けていった。  次から次へと目まぐるしく変化していく状況に反応が遅れてしまい、足を閉じようとしたときにはもう遅くて、彼の前に欲に濡れた恥部が曝け出され、そこに熱い息が掛かるのを感じた。 ――ダメだ、止められない。  そう悟ったと同時に舌を這わされ、ついさっきまで指で散々こねくられ、主張するように膨れ上がってしまったそこを、熱い舌先が優しく掬うように舐めとると、今まで感じたこともない衝撃が身体に走る。 「舌で撫でられるのと吸われるの、どっちが好き?」 「わ…かんな、い…っ」  こんな恥ずかしいところを舐められたのは初めてで、驚愕と快感と羞恥心が共存するその行為に、ただ悶絶することしか出来ない。  口ではわからないなどと言っておきながらも身体は実に正直で、時折吸うように刺激されると、まるで喜んだように勝手に腰が跳ねてしまう。 「…こっちの方が好きそうだね」  くすくすと笑うと、何度もそこを吸われて、さっきまでは頑なに我慢していた声さえも抑えられなくなっていた。  文字通りぐちゃぐちゃにされる身体と思考には、動揺とか困惑とか、ややこしいものはもう何一つとして存在しなくて、あたしはひたすらに快感を追い求めはじめていた。  泣き濡れるあたしの顔を満足そうに捉える嵐士が視界に映り込む。  この頃には極限まで高められていた身体を途端に放置され、”なんで?”とねだるように視線を向けてしまう自分がいた。  
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1097人が本棚に入れています
本棚に追加