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きっと私の顔は真っ赤だ。耳まで熱くなって、頭も真っ白で何も考えられない。でもこのままじゃエスカレートしていくばかりなので、私は勇気を出して彼の名を叫んだ。
「リュ、リュディカ! からかうのは、止めてください!」
「…………」
あれ? せっかく頑張って言ったのに、反応なし? 私は恥ずかしくてギュッと閉じていた目を開けた。するとそこに見えたのは。
真っ赤な顔をした竜王様だ。口に手を当て、うつむいている。耳まで真っ赤になって、私と一緒じゃない!
「竜王様、顔が真っ赤ですけど?」
「……驚いただけだ」
「絶対ウソです! もう早くどいてください! からかってばかりなんだから!」
「からかってるわけじゃ――」
このままじゃ不毛なやり取りになりそうだと思った瞬間、コンコンコンと怒ったようなノック音が聞こえてきた。
「竜王様、お茶を飲む時間です!」
扉の外からリディアさんの不思議な声掛けが聞こえてきた。
(薬を飲む時間みたいな言い方してる……)
竜王様も彼女の言葉を聞き、私の上から体をどけると、何事もなかったかのように出ていこうとしている。
「じゃあ、リコ。また明日だな。ゆっくり休めよ」
「は、はあ……、おやすみなさい」
来た時とは違ってかなりご機嫌な竜王様は、睨むリディアさんのことも軽くあしらいながら、自分の部屋に帰って行った。
「ゆっくり休めって、あんなからかい方して、よく言うよ……」
ベッドに寝転がりながら、竜王様に悪態をついていると、大事なことを思い出した。
「あっ! 結局言えなかった!」
自分が運命の花嫁だって告白しようとした瞬間にアレだもん。一気に頭が真っ白になって、すっかり忘れてしまった。卵くんも寝ちゃったし、今日はもういい、ふて寝しよう。
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