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私はそのまま、毛布を頭までかぶると、目を閉じた。しかし、さっきの竜王様とのことを思い出してしまって、なかなか寝付けなかったのだった。
◇
『おはよう! ママ!』
「おはよう〜! 今日は早いんだね!」
『うん! きのう、いっぱいねむった!」
「ふふ。たしかに昨日はよく寝たね。もう出発の時間だから、しばらく返事はできないの。ごめんね」
『は〜い』
起きたばっかりの卵くんが元気いっぱいに返事をすると、ちょうどリディアさんが迎えにきた。そのまま外に出ると、竜車の前でなにやら竜王様とルシアンさんが、昨日の幼竜を抱っこしながら、何か話している。
「おはようございます! クルルくんもおはよう!」
「おや、迷い人様。おはようございます」
『はよ』
「クルルくんも外に出て、一緒にお見送りしてくれてるんですか?」
するとルシアンさんは、クルルくんの顎を撫でながら、少し残念そうな顔をしている。
「それがちょうど今、竜王様にお願いしようと思っていたのですが、クルルの貰い手を探してもらえませんか? この子は中型ですから、竜舎がないここではとても飼えません」
(そうか、今は小さいけど、大人の竜になったら中型くらいに育っちゃうのか。それならここでは、飼えないよね)
すると竜王様が、私の肩をポンと叩き、ニッコリ笑った。
「リコ、嬉しい報告があるぞ」
「え? なんですか?」
最近はよく私をからかってくるので、本当に私にとって嬉しい報告なのか疑わしい。私がジロリと睨んでいると、竜王様は全然こりていないようでクククと笑っている。
「本当に嬉しい報告だ。リコが幼竜と話せるなら、王宮に幼竜を預かる竜舎を建てようと思うのだが、どう思う?」
「幼竜だけを集めるのですか?」
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