28 竜王様の過去

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 私はそのまま、毛布を頭までかぶると、目を閉じた。しかし、さっきの竜王様とのことを思い出してしまって、なかなか寝付けなかったのだった。  ◇ 『おはよう! ママ!』 「おはよう〜! 今日は早いんだね!」 『うん! きのう、いっぱいねむった!」 「ふふ。たしかに昨日はよく寝たね。もう出発の時間だから、しばらく返事はできないの。ごめんね」 『は〜い』  起きたばっかりの卵くんが元気いっぱいに返事をすると、ちょうどリディアさんが迎えにきた。そのまま外に出ると、竜車の前でなにやら竜王様とルシアンさんが、昨日の幼竜を抱っこしながら、何か話している。 「おはようございます! クルルくんもおはよう!」 「おや、迷い人様。おはようございます」 『はよ』 「クルルくんも外に出て、一緒にお見送りしてくれてるんですか?」  するとルシアンさんは、クルルくんの顎を撫でながら、少し残念そうな顔をしている。 「それがちょうど今、竜王様にお願いしようと思っていたのですが、クルルの貰い手を探してもらえませんか? この子は中型ですから、竜舎がないここではとても飼えません」 (そうか、今は小さいけど、大人の竜になったら中型くらいに育っちゃうのか。それならここでは、飼えないよね)  すると竜王様が、私の肩をポンと叩き、ニッコリ笑った。 「リコ、嬉しい報告があるぞ」 「え? なんですか?」  最近はよく私をからかってくるので、本当に私にとって嬉しい報告なのか疑わしい。私がジロリと睨んでいると、竜王様は全然こりていないようでクククと笑っている。 「本当に嬉しい報告だ。リコが幼竜と話せるなら、王宮に幼竜を預かる竜舎を建てようと思うのだが、どう思う?」 「幼竜だけを集めるのですか?」
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