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「ああ、リコだけが会話できるからな。幼竜の扱いはけっこう大変だ。よく鳴くから飼い竜であっても、育児放棄する時も多い」
「わ、私がお世話をしていいんですか?」
「全部ではないが、竜の保育の先生になれば良いじゃないか?」
竜王様の最後の言葉に、雷に打たれたような衝撃が体に走った。
「りゅ、竜の保育園! きゃあああ! 素敵すぎるぅ」
私が突然叫び声をあげたので、隣で聞いていたルシアンさんは目を丸くして驚いている。しかしそんなことに、かまっている暇はない! だって、だって! 諦めていた保育の夢が叶うんだ!
(人間の子どもじゃないけど、竜の保育だってやりがいありそう!)
片言の言葉を話す幼竜がいっぱいいるところを想像するだけでも、勝手に笑いがこみ上げてくる。
(それに、竜王様が私の夢を覚えていてくれたのが、すごく嬉しい!)
「その保育園の生徒第一号が、クルルでいいんじゃないかと思ったのだが、これでも嬉しい報告じゃないか?」
「嬉しすぎます! 竜王様、最高です! ありがとうございます!」
『ママがせんせ〜! ぼくも、せいとになる!』
もう人目などどうでもいいから、竜王様に抱きついて感謝の気持ちを表したいくらいだ。すると私が大騒ぎしているので、とうとう団長さんやヒューゴくんまで集まってきてしまった。
しかしこの喜びを一人で抱えることは、とうていできない! 興奮しきった私は、集まったみんなにベラベラと話し始めた。
「みなさん! 聞いてください! 実は私――」
「それは凄い! 国境の辺りは落竜も多いですし、みんな喜びますよ!」
「リコ様、素敵です! 私もお手伝いさせてくださいね!」
「俺だって手伝いますからね!」
『ぼくも、手伝います!』
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