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12 ドタバタの健康診断
「リコ! そんなに痛いのか?」
竜王様のあせった声が部屋に響く。すぐにでも顔を出して返事をしたいけど、その前にこの子に言い聞かせなくては! 私はお腹をポンと軽く叩いて、小声で注意した。
「さっき言ったばかりでしょう? 絶対に動いちゃダメだし、話しかけても返事できないからね。わかった?」
『……へへ。ごめんなさ〜い』
叱ったつもりだけど、全然響いてない気がする。これは将来、いたずらっ子になる可能性大だわ。
「リコ、眠っているのか?」
良かった。やっぱり竜王の卵の声は私以外には聞こえないみたい。竜王様にさっきの声を不信に思っている様子はない。それでも返事もせず毛布に潜りっぱなしでは、変に思われるだろう。
それに元気にしていないと、お医者様から念入りに調べられちゃう! 私は勢いよく顔を出すと、わざと明るい声で返事をした。
「起きてますし、元気です! ちょっと頭を打っただけですから!」
竜王様はニコニコと笑う私を見て、安心してくれたみたいだ。ほうっと息を吐くと、私の頭にそっと手を置いた。
「心配させるな。驚いただろう」
「……すみません」
そう言うと、竜王様の大きな手が、私の頭から頬に移動する。スリスリと優しくなでられ、一気に顔が熱くなってきた。な、なんで頬をなでるんだろう?
「あ、あの……」
「熱はなさそうだな」
「は、はいっ!」
(なんだ。熱があるのか調べてたのか。びっくりした……)
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