1人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は、気づくと真っ暗な世界にいた。
「なんて、汚い卵なの」
僕が目を覚まして初めて聞いたセリフはそんな言葉だった。
「ハリーとジャックとミリアはこんなにも綺麗なのに。どうして、このたまごだけこんなにみすぼらしいの?」
外から聞こえる少し高い声は、僕のことをたまごと呼んでいた。
僕はそれを自分の名前だと思った。
この暗い世界はとても寒かった。けど、僕は自分の意思ではどうにも出来なかった。僕が唯一感じるのは時々世界の縁に触れる何かだけであった。
最初のコメントを投稿しよう!