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「私はこの子たちしか育てないわ」
「何を言ってるんだ」
「じゃあ、あなたが育ててくれるの?」
「それは…」
「無理でしょ?あなたはオスだもんね」
「…」
その会話が聞こえてしばらくすると、バサバサという音が聞こえ、それはやがて聞こえなくなった。遠くに行ってしまったのだと、世界を何も知らない僕でもなんとなく理解した。
そこからしばらく、僕は一人だった。何も聞こえない、何も感じない生活が続いた。それが実際にどのくらいの長さだったのかは、未だにわからない。ただ、僕にとって、それはとてつもなく長い時間だった。
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