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だが、その日々は長くは続かなかった。
パキッと音がして、僕の世界が壊れ始めた。上手く開かない目で必死に光を感じながら、僕は声を上げた。
「ありがとう」の言い方すらまだわからなかったけど、今までの気持ちを全部吐き出すかのように、僕は鳴いた。
「まぁ、なんて可愛いの。私はアン。あなたの名前はダニエルよ」
僕はこの日、たまごからダニエルになった。
茶色くふわふわとした何かはそう言いながら、僕の体をそっと舐めた。ザラザラしていて少しくすぐったかった。
僕はしばらく経つと、目を開けるようになった。そして僕は、声の主と自分の姿を確認した。
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