たまご

8/9
前へ
/9ページ
次へ
 僕は怖くて震えていた。  「生きる」とはなんて過酷そうなことなのだろう。  「ダニエル?どうしてそんなに震えているの?」    僕は返答の仕方をまだ知らなかった。  「私があなたを食べると思ってるの?そんなことしないわよ。大事な私の子供だもん」  食べる?それが何かは知らないけれど、僕はあなたには感謝してる。すごく、出会えたことがすごく嬉しい、ただ、  「世界の広さに怖くなった?」  「大丈夫よ」  「あなたはきっと、このジャングルで一番美しい鳥になるわ」  彼女はそう言うと、再び僕の体を舐めた。すると、少しだけ安心して、もう少しだけこの世界で頑張ろうと思えた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加