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それから僕はみるみるうちに成長していき、たくさんのものを知った。美味しい食べ物に、優しい動物たち。自然の偉大さを知った。そして、その知識と共に、僕はいつの間にか海のように青い綺麗な羽を持った。
アンの言った通り、このジャングルで一番美しい鳥になったのだ。
知らないことは怖いことだけど、新しい世界が絶対に不幸な世界というわけではないと、僕は学んだ。
「ねぇ、アン」
あの頃と同じように、逞しく、そして美しいアンが僕の方へ振り返る。
「なに?」
「拾ってくれて、育ててくれて、ありがとう」
「なにを今更…」
アンはそう言いながら、少し照れくさそうに顔を背けた。
ここのジャングルは、今日も鳥の鳴き声と川の音で騒がしい。そして、今日もどこかの卵がこの素晴らしい世界に逢える瞬間に近づいている。
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