待ち伏せ

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待ち伏せ

蒔田さんと別れ、自宅へと歩きだす。同じ様に歩いている人や、電話をしながら歩いている人も多い。考えてみれば両親や弟は大丈夫なのだろうか?今更ながら心配になってきた。 『ホラー映画の見すぎかな』 蒔田さんの笑い声を思い出す。 ホラー映画もパンデミックだが、そうなってくる可能性は低いだろう。彼女からしたらフライパンと傘は持っておくべきなのだろうけれど。 平日に青空を拝みながら帰る っていうのは悪くないけど メッセージアプリの障害情報をみていると、自宅マンションが近付いてきた。入り口とは離れた場所にある階段側から入ろうと鍵を探していると、その階段に昨日言葉を交わした小笠原少年が居た。頬杖をついてつまらなそうにしている。 「お兄ちゃんだ」 「こんにちわ」 内心面倒だと思いひきつり笑いを返すと、とおせんぼの如く立ち上がった。 「お母さん…死んじゃった」 「へ?え、、」 「っえぐ、、うぐ」 「大丈夫?」 「だめ一一っうくく」 巻き込まれたくないものに巻き込まれてしまったらしい。非難がましい近所の人の目線に慌て、仕方なく部屋へ小笠原少年をあげることにした。
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