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「安心しろ。お前は精巣ガンじゃない。」
「え……精巣ガンじゃ、ない?」
「あぁ。」
小さく頷く気配がして彼の方を見ると微笑んでいた。
そして、『倒れたのはただの過労だ。大人しく休んでいればすぐに良くなる。』
と言って、優しく頭を撫でてくれた。それに嬉しくなって僕も微笑む。だけど次の瞬間、その笑顔は凍りついた。
「だが、想像妊娠の可能性もある。」
「……え?」
「お前の体調が悪い事なんてとっくの昔に気づいていた。だけど妊娠したかも知れないって思い悩んでいたとは気付けなかった。すまない。」
城田さんから思いもよらず謝られて僕は慌てて首を横に振った。
「想像妊娠って……男でもなるんですか?」
「想像妊娠する男は稀にだがいるらしい。付き合っている彼女や妻が妊娠したとわかって、その後不安やストレスから吐き気や倦怠感などと言った症状が出るそうだ。」
そこで一旦言葉を区切ると僕の方をじーっと見ている様子。僕が相変わらず俯いていると、やがて諦めたようにため息をついて続けた。
「だが友成の場合、それはない。俺の他に付き合っている奴がいるというなら別だがな。」
「まさか!」
つい出た大声に城田さんはニヤリと笑う。
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