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―――
「お前は、子どもが欲しいのか?」
「はい……僕は愚かでしょうか?こんな事を考えるなんて。叶うはずのない夢物語を願うなんて……」
「いや、その気持はわからなくもない。」
「城田さん……」
「俺だって、友成との間に子どもを持ちたいと柄にもなく思う時もある。」
彼の思いもよらない言葉に涙がまた頬を伝った。
「男が妊娠する方法はあるにはある。」
「え……」
「子宮外妊娠だ。男には子宮がない。だから女でも起こり得る子宮外妊娠を男にも応用するんだ。受精は体外受精で行い、腹腔に受精卵を移植する。まぁこの場合、卵子を提供してくれる女を探さないといけないがな。そして出産は帝王切開によって行う。しかしこの方法では妊娠・出産する側に危険が及ぶ可能性がある為、今まで人間での実験は行われてこなかった。しかし俺ならやれる自信がある。流石に産婦人科の知識は乏しいが、医学を学んできた身だ。国内外の文献を読み漁って技術を磨けばいつかは。だからもしお前がどうしても子どもが欲しいなら……」
「じゃ、ない……」
「ん?」
「そんな事が聞きたい訳じゃない!」
僕の突然の大声に城田さんは目を丸くして固まった。
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