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「私はまだ妊娠した事ないからわからないけど、妊娠したからって愛を得られるとは限らないんじゃない?」
突然の翠さんの言葉に僕は勢いよく顔を上げた。
「証って友くんは言うけど、何をもって証?それは確かに子どもかも知れない。二人の血を分けた宝物よ。だけどそれだけが真実じゃないと思う。世の中には子どもを授からなくても生涯幸せに連れ添った夫婦もいる。逆に子どもがいても上手く行かなかった人達もいる。」
「翠さん……」
「証がなくても貴方達はきっと大丈夫よ。私が言うのも何だけど、章くんをただ信じればいい。」
「城田さんを信じる……」
「てかさぁ、すげぇ脱線してるけど。検査薬で陽性って出たんだろ?」
「うえぇっ!」
翠さんの言葉にほろっとしていたのに、横から森沢が空気を読めない発言をして思わず変な声が出た。森沢の方を見るとグラスを揺らしながらつまらなさそうにこっちを見ていた。
「そうそう、忘れてたわ。実際のところデキてるのかしら?」
「うっ……翠さんまで……」
翠さんがニヤニヤした顔で迫ってくる。
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