第1話 抱えきれない思いを抱いて

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第1話 抱えきれない思いを抱いて

――― 「え?ウソ……」 トイレの中で僕は呆然とした。力が抜けて壁に凭れると、そのままズルズルと座り込む。そして手に持っていた物をまるで汚れ物のように投げつけた。 「林崎!おいっ!どうした?開けろ!!」 ドアを叩く音と同僚の森沢の声が遠くから聞こえる。僕は森沢に心の中で謝ると、投げ捨てた物体を見つめた。 「城田さん……」 そこには妊娠検査薬が転がっている。 そしてそれは、陽性反応を示していたのだった…… ――― 僕は林崎友成。高校の教師をやっている。生徒達の事で悩んだ時、友人の紹介でカウンセラーである城田章さんと知り合った。付き合い始めて色々あったが今では同棲して幸せに暮らしていた。 それなのに何でこんな事に…… .
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