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春――spring
―――
春、それは君と初めて出逢った季節。
あれは不思議な出逢いだった。恥ずかしいのを堪えて言うと、きっと運命的な瞬間だったんだろうな、と思ったりもする。
私が命の次に大事な『描くこと』を、出会ったばかりの彼がわかってくれた。
私の決して上手くはない絵をちゃんと見てくれた。
だから私は彼とこのまま別れる事はしたくなかった。
少しの間話しただけ。それまでは全然見知らぬ他人だったはず。
それでも私、上小路由樹は、葉村晃と友人になりたかった。
だからあの時、声を出した。
「これから学食で飯でも食わん?俺、奢るよ。」
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