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夕日が沈みかけた頃、僕はいつのまにかこの世界にいた。ここはどこだろう?僕はその疑問を解決させるために歩き出した。僕が覚醒したところはどうやら廃ビルのある部屋のようだ。僕はとりあえず0階へ向かう。
「…。ここは?」
外の世界はまるで世紀末のようだった。空は赤く、周りのビルは廃れている。僕はこのまま歩み続ける。人の気配はする。しかしあまり多くない。時々視界に人の姿が入るけど、すぐに逃げられてしまう。それでも僕は歩みを止めない。
歩き続けると目の前に大きな人が僕の行手を阻まんだ。
「おい、お前ここらじゃみない顔だな。」
「だーれの許可でここにいるんだぁ?」
僕は彼らから逃げようと思ったが、そんな隙はない。
「ねえ、そこのお兄さん。」
その声は聞き覚えのない少女の声だった。
「あぁぁ?だれだテメェ。今どんな状況かわかってるのかぁ?」
「ええ。」
「んだと?なら…。」
その瞬間話していた男の声は途切れた。
「おい、井上!大丈夫か!?」
「お兄さんもその人のようになりたくなければ逃げた方がいいよ。」
するとびびった男は仲間を見捨てて逃げてしまった。
「さ、私たちも逃げよ。」
僕は少女に手を引かれた。
僕は少女に連れられて街外れの家にいた。
「ここはどこ?」
「ここはもともと民家だったのを私が隠れ家として使ってるの。」
「…。君は何者?」
すると少女はニコリと微笑み言った。
「私は闘者(とうしゃ)。この世界に蔓延る悪に抗う者…だよ。」
「名前は?」
「立場上名前は教えられないな。」
少女は立ち上がり僕に近づいて言った。
「じゃあ、君は。君は何者?名前はなんていうの?」
「…。」
僕は今までを振り返ろうとしているのだが何も思い出せない。それを察したのか少女は
「無理に思い出そうとしなくていいよ。」
と言った。
「じゃあ、君はもう好きにしていいよ。…なんて言ったら私無責任か。」
「僕は君に着いていきたい。」
「うん、それは私の義務だと思うし。いいよ。」
「ありがとう。…じゃあこれからよろしく。」
「うん、よろしく。」
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