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いつかの時代。
人類は繁栄を謳歌していた。
《エッグ》の発明によって。
有機物・無機物を問わず、あらゆるものを内部で製造可能な夢の発明品。
さらに、不要になった製造物は《エッグ》本体からの光信号を受けることで分子構造が変化し、原料に再分解される。これにより完璧なリサイクルが可能だった。
家庭用の小型機から業務用の大型まで、世界のあらゆる場所に《エッグ》が溢れた。
工業製品はもちろん、料理やペットに至るまで、今や人類が手にするすべてのものが《エッグ》によって生み出されていた。
ただ、ひとつの例外を除いては。
……人間。
開発者である白鳥博士によって、《エッグ》には人間を製造できないようロックがかけられていた。
倫理的、宗教的な観点から、それは極めて妥当な措置といえた。
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