68.王女side

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68.王女side

 初めて見た時から、あの女が嫌いだった。  キャサリン・コードウェル公爵令嬢――  王家の血を引く公爵家の娘。  それだけでも苛つくのに、周りはあの女を賛美する者で溢れていた。建物自体が別々なのにクラスメート達はさも見てきたかのように「素晴らしい淑女」だと褒め称える。あっち側(高位貴族側)の校舎に行こうにも門番が待機して入れてくれない。私を誰だと思っているの!ふざけてるわ!お父様にあっち側に入れるようにお願いしてもダメだった。 『リリアナの気持ちはよく分かった。だが、高位貴族側に入るには結果を出さなければならない。せめて今の場所で成績が三位をキープできるようにならないと文句をいうことはできないんだ』  学年三位なんて無理に決まってるじゃない!  なんで? 『それ位しないと向こうの学舎での授業はついていけない。いや……三位であっても向こうでは下の成績になるだろうな』  お父様曰く、「教育課程のレベルが違い過ぎる」ということだった。天と地ほどの差がある、とまで言われた。言い過ぎじゃないかと思ったけど、あっち側の生徒は最低でも三ヶ国語は話せるとクラスメートに聞いた時はあながち間違いでもないのかも、と思った。てっきり、お父様が大げさに言っているだけと思っていたから。    王族の権限でどうにかできないかと学園側に直談判したけど相手にもされなかった!  なんて失礼な連中なの!    しかも、あの女(キャサリン)は学年一位の成績だっていうじゃない。生意気よ!  最近じゃ、お母様までお父様と一緒になって「勉強しろ」と煩い。   『コードウェル公爵令嬢に負けて悔しくないの!リリアナが本気をだせば直ぐに公爵令嬢なんて追い抜けるわ!』  あんまり煩いから仕方なく勉強に取り組んでみたけど面白くない。元々、勉強は嫌いだったから飽きるのも早かった。だいたい週一で小テストがあるなんて聞いてないわよ!  結果の伴わない無意味な勉強をするよりも、クラスメート達と遊んでいる方が楽しかった。特に男子生徒は私が少し笑顔を見せるだけでちやほやするし、女子生徒もペコペコする。    そんな時、帝国の第二皇子が留学してきた。
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