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「先ほど。変死体があがった」 「らしいな。その話は俺も聞いたな」  汗を拭き終えたタオルを首にかけ直し、テッドも腕を組む。このように大きな身体で腕を組まれると威圧を感じるが、アニエルカは慣れたものだ。 「残留魔力があった」 「ほほう」  アニエルカの言葉に、彼の視線は鋭くなった。だが、口調は相変わらずだ。 「すぐにでも、団長に報告したほうが、いいよな……」  アニエルカがテッドに相談したい内容とは、今日の事件をどのタイミングで第二騎士団の団長に報告するかであった。  きちんと報告書を仕上げて、内容は報告する。だが、それは複雑な手続きを終えてから団長のもとへと届くため、間違いなく一日はかかる。  だからアニエルカは「すぐにでも」報告すべき案件であるかを、テッドに確認したかったのだ。 「そうだな」  テッドは迷うことなく即答した。 「俺も一緒に団長のところへ行くわ。ちっと着替えてくるから、外で待っててもらえるか」 「ああ」  アニエルカは頷いた。  一人で報告に行けないわけではないのだが、テッドがいるだけで心強いと思う。  それがまだ、アニエルカの心の弱さなのだ。
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