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 第二騎士団団長室。執務に相応しいような落ち着いた色合いの部屋の壁際には、重厚な執務席が置いてあり、一面の壁際には書棚が並べられている。  団長であるルーベンは机の上で両手を重ねた。ちょうどそれが顔の前にあるため、彼の表情を隠すような形となった。 「残留魔力……。それは本当か?」  その姿勢のままルーベンが尋ねてきたので、彼の表情はわからない。恐らく、顔を見せないようにしているのは、それを信じたくないという表れなのだろう。 「はい。魔導士のネリウル殿に()てもらいました」  執務席を挟んで、アニエルカはルーベンの前に背筋を伸ばして立っていた。隣にはテッドもいる。 「ネリウル殿か……。彼が言うなら、間違いないだろう」  ルーベンは大きくため息を吐いた。あまりにもそのため息が大きかったため、彼の目の前にあった書きかけの書類がふんわりと浮き上がった。アニエルカはその書類の行方を黙って目で追った。そして、もう一度ルーベンの顔を見る。だが、やはり彼の手に隠されて表情は読み取れない。 「アニエル。その報告を今私にしたということは。今回の案件はただの変死ではないと、そう思っているということだろう?」  アニエルカは返事をして頷くが、隣のテッドは微動だにしない。
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