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「ああ、もちろんだ。それがオレたち魔導士の仕事でもあるからな」 「助かる」  アニエルカは再び目を伏せ、黙とうを捧げる。  この遺体をこの状態で家族と会わせるのは酷だろうと思っていた。だから、魔導士であるディーターにこの遺体の修復を頼んだのだ。むしろ、それが魔導士の仕事と言っても過言ではない。  魔導士の魔法は自然界の力を増幅させるもの。例え、この変死体が目を背けてしまいそうな状態であっても、魔導士が魔法を使って修復すれば、その傷も無かったことにすることができる。無いものから作り出すことはできないが、あるものを修復することは可能なのだ。ちぎれたものをくっつければいい。それだけの話だと、以前、ディーターは言っていた。 「これ見てさ。お前たちの部下はなんともなかったわけ?」  遺体の修復作業をしながら、ディーターは口を開く。  修復作業といっても針と糸を持ってチクチクと縫い合わせるわけではない。魔力を使い、ばらばらになった箇所を元の場所に戻して繋ぎ合わせるのだ。 「なんともないわけがあるか」  この現場に駆けつけたときの彼らの様子は酷かった。一斉に口元を手で押さえ始めた。臭いがきついのもあったが、それ以上に目を背けたくなる惨状だったのだ。辛うじて顔は綺麗に残っていたため、そこからおおよその年齢と性別が予測できた。 「だよな。これは、酷いもんな」  ディーターもアニエルカも、何事もないようにその場に立っているが、心の中は怒りで溢れている。その怒りが今の彼らの原動力になっている。
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