八重の桜が咲くころに

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「ここからは自由行動になります。18時までにホテルに戻って下さい。19時から食事会です。遅れない様にお願いします」 総務課が張り切っている。 自粛が続いて早3年、治療薬が開発された事で徐々に行動範囲の制限も解除されつつある。 そこで、「一人はみんなのために、みんなは一人のために。従業員は最初のお客様」を掲げる社長の一声で今回の社員旅行が決まった。 創業以来欠かしたことのなかった社員旅行だけに3年ぶりの慣行は社長の思い入れも相当なものだと思う。 宿泊先のホテルも京町家風で豪華、力の入れようが窺える。 新幹線で2時間と少し、京都駅から各々タクシーに乗り伏見稲荷大社に到着。 社員全員でご祈祷を受けた後は社長が起業のキッカケを授かったと言う、千本鳥居を巡る。 参道にある食事処で昼食を囲み、徒歩で南に向かいつつ、いくつかの神社仏閣を参拝。 深草陵(ふかくさのみささぎ)で解散、自由行動となった。
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