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先程、同僚の女の子には「大丈夫」と見栄を張ってみたのだが、やはり俺にここで酒盛りしろというのはどうしても無理な相談のようだ。
多少、酒が入っていることもあり、胃の中からは酸っぱいものが胸の方へと込み上げてくる……。
「ねえ、ほんとに大丈夫? なんか顔真っ青だよ?」
他の者達同様に盛り上がっていたその女の子が、再び僕の異変に気づいて心配そうに声をかけてくれる。
「うっ……ごめん。やっぱりちょっと無理だ。先に帰らせてもらうよ……」
堪らず嘔吐いてしまった俺は、今度こそ正直にそう告げると口元を手で覆いながら、敷かれたレジャーシートの上ですくっと独り立ち上がる。
きっとこのシートの下にも、何体かの屍体が寝転んでいるのだろう……。
そして、急いで脱いであった靴を履くと静かに宴の輪の中から…否、桜の樹々にまとわりつく屍体の山の中から、逃げ出すようにしてその場を後にした。
(マジで桜の樹の下には 了)
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