14人が本棚に入れています
本棚に追加
市ノ瀬咲乃はすぐ日和る
「なぁ、お前ら。 ちっと相談乗ってくんね?」
昼休憩の飯時。
いつもと同じく友人三人と机を寄せあって食事をしていると、悪友の一人がそう言ってきた。
俺達三人は視線を交わし、またか……と呆れたが、友達のよしみとして、聞いてやる事にした。
「なんだよ、今度はなんの相談だよ」
「まぁどうせ下らん事やろうけど、一応聞いたるわ。 話してみ」
「おう、せんきゅ。 いや、実はさ……最近になって、委員長がよく俺に話しかけてくんだよな。 これってさ、やっぱり俺の事……へへっ」
あの堅物の委員長が?
それは流石に夢見すぎな気がするけど。
二人も同じ意見のようで、口々に──
「アホか、んなわけないやろ。 鏡見てから出直してきい」
「はい、解散。 お疲れ様でしたー」
「おい、お前ら……それは幾らなんでも冷たすぎじゃね!? 俺にだってちょっとくらいチャンスあるかもしんねえじゃん! なあ、結城!」
答えたくないから黙っていたのに。
「あ……あはは」
「こ、こいつ……! 笑って誤魔化す気満々か!」
「結城も無理だとよ、諦めろよ」
「せやせや」
「くぅ……!」
納得言っていない様子だが、これだけ論破されたら認めざるを得ないのか、悪友は意気消沈気味におにぎりを頬張る。
「じゃあなんで毎日のように話しかけてくんだよ。 んなの気があると思うだろ」
「そりゃお前、あれやろ。 お前が所属しとる、サッカー部の先輩狙いやろ。 委員長あれで結構面食いやさかいな」
「てことは……俺、先輩のダシにされてんの?」
「だろうな」
その事実が僅かばかり残った悪友の希望にトドメを刺した。
「マジかよ……」
可哀想に。
もう何度見たか忘れた友人の落ち込む姿に俺は苦笑いを浮かべる。
そこへ、大阪弁の友人がある話題を出してきた。
最初のコメントを投稿しよう!