市ノ瀬咲乃はすぐ日和る

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市ノ瀬咲乃はすぐ日和る

「なぁ、お前ら。 ちっと相談乗ってくんね?」  昼休憩の飯時。  いつもと同じく友人三人と机を寄せあって食事をしていると、悪友の一人がそう言ってきた。  俺達三人は視線を交わし、またか……と呆れたが、友達のよしみとして、聞いてやる事にした。 「なんだよ、今度はなんの相談だよ」 「まぁどうせ下らん事やろうけど、一応聞いたるわ。 話してみ」 「おう、せんきゅ。 いや、実はさ……最近になって、委員長がよく俺に話しかけてくんだよな。 これってさ、やっぱり俺の事……へへっ」  あの堅物の委員長が?  それは流石に夢見すぎな気がするけど。  二人も同じ意見のようで、口々に── 「アホか、んなわけないやろ。 鏡見てから出直してきい」 「はい、解散。 お疲れ様でしたー」 「おい、お前ら……それは幾らなんでも冷たすぎじゃね!? 俺にだってちょっとくらいチャンスあるかもしんねえじゃん! なあ、結城!」  答えたくないから黙っていたのに。 「あ……あはは」 「こ、こいつ……! 笑って誤魔化す気満々か!」 「結城も無理だとよ、諦めろよ」 「せやせや」 「くぅ……!」  納得言っていない様子だが、これだけ論破されたら認めざるを得ないのか、悪友は意気消沈気味におにぎりを頬張る。 「じゃあなんで毎日のように話しかけてくんだよ。 んなの気があると思うだろ」 「そりゃお前、あれやろ。 お前が所属しとる、サッカー部の先輩狙いやろ。 委員長あれで結構面食いやさかいな」 「てことは……俺、先輩のダシにされてんの?」 「だろうな」  その事実が僅かばかり残った悪友の希望にトドメを刺した。   「マジかよ……」  可哀想に。  もう何度見たか忘れた友人の落ち込む姿に俺は苦笑いを浮かべる。  そこへ、大阪弁の友人がある話題を出してきた。
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