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そこからは僕も妻も記憶が飛び飛びだ。
日が暮れかけてもレジャーシートに戻ってこない娘をほんの少し心配して片付けたのを覚えている。
それから、今日の僕たちの探検の軌跡を二人で追って、不安が徐々に膨れ上がったのはまざまざと思い出される。
「あの小川かもしれない」「小川?」
二人で足早に向かった。中身を食べきって空になったお弁当箱が嫌に重かった。けれど、そこにもいなかった。
「先に家に帰っちゃったのかもしれない」
明るく、しかし震えが隠せていない声で妻が提案したことに乗るしかなかった。
たしかにあの時、花筏は乱れていたかもしれない。
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