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今日のこの講義には、私だけしか来ていなかった。
と、言うかみんな、なし崩し的に来なくなっちゃったんだ。
必須教科ではなかったし、間に一講義、空いてしまうから、段々と来なくなってしまったという感じだ。
私はせっかくだから、取れる講義は全部取らないと授業料がもったいないと思うケチ、いやいや勉強熱心と言ってほしいんだけど。
講義室を出ると思いがけない人に突然声を掛けられた。
「あの、よかったらお茶しに行かない?」
「は?」
あれは人気者のバンビ先輩だ。
うちのサークルの池田京子先輩のお友達。
話したこともないし、と言うよりかなりの有名人で私のような田舎者など近寄り難い爽やかイケメンなのだ。
その風貌はバンビのような可愛らしいお顔、なんでもご実家はお酒を皇室に献上している造り酒屋のおぼっちゃまらしいのだ。
いやいや私のはずがないと思って周りを見渡してみたけど、私だけしかいなかった。
「私?ですか?……」
恐る恐る聞いてみたけど、もうみんな帰っていて、私しかいなかった。
「そうそう君だよ」
なんと!
焦る焦る。
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