地区大会、市大会

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地区大会から1週間後。 私と貴斗は2人で市大会の会場となっている紅木(あかぎ)中学校に足を運んでいた。 市大会の開催は早くて、地区大会の1週間〜2週間後には開催される。 女子は碧葉(あおは)中学校、男子は翠華(みどりはな)中学校、男女混合は紅木中学校でそれぞれ大会が行われる。 会場が別々のため、他のところの結果はその場で知ることはできない。 本当なら私と貴斗は団体メンバーに入っていたけど、男女混合ダブルスで出る人は団体メンバーから外されるというルールがある。 男女混合ダブルスより団体戦を優先するか、団体戦より男女混合ダブルスを優先するか。 顧問の先生に聞かれた時、私と貴斗は迷わず後者を選んだ。 もちろん先輩たちと一緒に上を目指したいとも思った。 でも… 団体戦だと本当に自分達の実力で勝ち進むというのは難しい。 たとえ、自分達が負けたとしても他の2ペアが勝つことができれば上に上がれる。 だから、個人の力で勝ち進みたいと考える私と貴斗にとって、団体戦を優先するより男女混合ダブルスを優先したほうが良いという結果になった。 ―――――― 「なぁ、貴斗…」 「俺に聞くな、知らねぇよ」 体育館が開くのがだいたい8時頃。 開場までは校庭等でアップをしながら各自で待機するのが当たり前なのだが… なぜか私と貴斗が注目の的となっている。 皆の視線が痛いくらい突き刺さる程に。 「な、なに、?普通だよ、な…?」 「まぁ変ではないだろ。皆、ラケバにジャージなんだし」 皆、こっちを見ては相方とコソコソ何かを話している。 なんとなく良い話はされていないのかなと思い、コソコソと体育館の方へ移動する。 すると、すれ違うタイミングで色々な声が微かに聞こえてきた。 「あの2人、1年生だって」 「ジュニアだったとして、2、3年生抑えて大会出てんの?」 「強すぎだろ」 「全部ストレート勝ちって噂聞いた」 「第三ブロックで?!」 「美男美女コンビで強いって…」 「女の子の方、高海君の妹らしい」 「試合見たけどあの2人強いだけじゃなくて審判とか対戦相手にすっげぇ礼儀正しい」 「皆から応援されるタイプだな」 そういうことか、と勝手に1人で納得した。 周りを見れば体格の差なんて一目瞭然で1年生というのがすぐわかる。 それにお互い目立つ顔立ちをしているから、大会や練習試合に行けばなんとなく他校の人から見られてしまう。 そして1番は身長差。 私は身長155cm程だけど貴斗はわりとあって175cmくらいだと思う。 これくらい身長差があるペアは知り合いの中ではほとんどいない。 「要するに、俺らにビビってんだよ」 色々考えていると貴斗が真剣な声色で拳を突き出してくる。 そんな貴斗を見て思わずクスッと笑ってしまう。 「そういうことだ!」 そう言って拳を突き合わせた。 しばらくして体育館が開放された。 人の波に乗って体育館へと入っていく。 皆の視線は相変わらず刺さったけど、気にせず貴斗の隣を堂々と歩いた。 絶対この中で1番になってやる、そう思いながら。
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