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島田は1週間の謹慎処分になったのだが、考査だけは特別室なる場所で厳重な監視のもと、何とか受けられることとなり、真琴はとりあえずホッとした。
謹慎が明けてから2、3日して、島田が古庄のところへやって来た。
古庄は入部届を受け取り、その一部を切り取って、担任である真琴へと渡す。
「島田くん、ラグビー部に入るの?」
側に立つ島田に、真琴が驚いたように尋ねた。
「古庄先生に、スカウトされたんです」
恥ずかしそうにチラリと古庄を見ながら、島田が答える。
古庄は満足そうな顔をして、にんまりと笑っていた。
確かに、放課後部活に勤しめば、他校の生徒と悪さをする暇なんてなくなる。
「何か打ち込むものができると、あんな馬鹿なことをしようなんて思わなくなるし。何てったって、ラグビーは仲間ができるからなぁ。島田も淋しくなくなる」
島田が教室へ戻っていく後ろ姿を見送りながら、そう古庄が口を開く。
単に、彼の担任である真琴を助けようとしているわけではなく、古庄は島田のことを本当に考えてあげて、そうしたのだ。
真琴は、島田を見る古庄の優しい目を見て、そう思った。
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