桜の匂い

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古庄の相手だったら、そのくらいの女性でないと釣り合いが取れないかもしれない。 しかし、古庄は滅相もないという風に、首を横に振る。 「そんな恐れ多くて、好きになるとかそう言う感じじゃなかったな。その先生は俺より3つ年上だったし、俺は弟みたいなもんだったよ」 「ふうん」と真琴は頷いて、古庄の話を聞く。 「だけど、その先生。3つどころか、12歳年下の生徒とくっついちゃったんだぜ!もう、驚いたのなんの!!」 「えぇ!?12歳年下?今の私と生徒の境遇と同じですよね。男の先生ならともかく、女の先生でそれはすごいかも」 真琴も衝撃の事実に、驚きを隠さず表現した。 「綺麗で優しかったから。その生徒に惚れられたんだろうな」 当時を思い出しているのか、古庄は遠い目をして語った。 「それで?その先生と私が似てるってことですけど?でも、古庄先生は私のこと、そんなに綺麗で可愛い…なんて思ってないでしょう?」 真琴にそう言われて、古庄はグッと言葉を呑み込んだ。
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