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何と答えるべきなのか言葉を選んでいるのが、真琴の目にもありありと映る。
「か、賀川先生も、そりゃ可愛いけど…。そんな見た目の問題じゃなくて、全体から醸される雰囲気というか、匂いというか、そういう感じが似てるんだよ」
「匂い……ですか?」
真琴は眉根を寄せる。
体臭のことではないと思うが、真琴は古庄の言うことが今一つ不可解だった。
「うん。なんていうか……。春の満開の桜の前に立った時みたいな匂い」
そう言われて、思わず真琴は、着任した時に見たしだれ桜の下のジャージ姿を思い出した。
あの時の古庄も、あのしだれ桜の下で、その匂いを感じ取っていたのだろうか。
その匂いを自分に対しても感じてくれている……。
そう思うと、真琴は、何となくくすぐったいような気分になった。
「一応嫌な臭いじゃないみたいだし、褒め言葉だと受け取っときます。それに、そんな素敵な人と似てるって言ってもらえて、嬉しいです。ありがとうございます」
真琴がニッコリと笑顔を作ってお礼を言うと、古庄は自分の真意が伝わらなかったと思ったのであろうか。
少し戸惑うように、肩をすくめて応えただけだった。
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