第19話 日常の中の非日常

20/88
前へ
/235ページ
次へ
「それでさっき、食べ物とか飲み物はちょっと違うかもって話になったんだよな」 「私は全然気にしないわねぇ。なくなっちゃうのはもちろん寂しいけど、お花だって食べ物だって、ちゃんとなくなるまでに楽しめているんだから」 「だそうだ。やっぱり気持ちがこもっていれば、形に残す必要はないんじゃないか」 「そうよ。元も子もないことを言っちゃうけど、もらえるものならなんでも嬉しいわ。毎年あるものだし、そんなに苦労して選ばれたら逆に困っちゃうもの」  そういう意見もあるのかと、私はちょっとだけ面食らった思いになった。  一生懸命悩めば悩むほど気持ちがこもると思っていたけど、もらう側はそこまでしなくてもっていう思いもあるんだね。 「……難しいですね。奥が深いっていうか」 「はっは。莉亜は考えすぎだと思うけどな」 「同感。でも、それが莉亜ちゃんのいいところなのよね」  またそうやって、みんなはことあるごとに私のそういうところがいいみたいなことを言ってくれるけど、自分ではなかなかそう思えないんだよね。  今だって、どんなリアクションをすればいいのかわからないし。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加