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第19話 日常の中の非日常
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それは突然やって来た。
まるで大きな事件が発生したみたいな出だしになっちゃったけど、こう表現するしかなかった。
私がいつも通りに中庭を眺めていたとき、スマホが普段と違う挙動を見せたのだ。
さっきから言葉遣いがミステリー小説みたいになっちゃってるけど、なんてことはない。
ただ単に電話が来ただけだ。
電話をかけてきた相手がちょっと予想外というか、予想なんてできたらもはや超能力なんだけど、とにかく私は一人で驚いているのである。
「莉亜」
「は、はいっ!」
少し遠くから自分の名前が呼ばれたのが聞こえて、私は慌てて声を出した。
そこにいたのはすっかり見慣れた人物だ。
「どうしたどうした。そんなに驚くか?」
「あ、いえ、すみません……」
心配そうな表情で私に歩み寄ってきてくれたのは、一号室に住んでいる倉澤哲夫さん。
通称倉じい。二年前まで中学校の先生をしていて、定年退職をされた今はのんびり隠居生活をしている。
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