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「何かあったのか?」
「えっと、まぁ、そうですね。何かあったかと言われれば、何かあったんですかね」
「んー? 大丈夫か?」
自分でも何言ってるんだろうって思った。
とりあえず落ち着こう。別にトラブルが発生したわけじゃないんだから。
「せんべい買ってきたから、それでも食べて落ち着いたらどうだ。莉亜が好きなものもあるからな」
「あ、はい。いつもありがとうございます」
倉じいの手には、見慣れたおせんべい屋さんの袋がある。
結局こうしてリードしてもらうことになる私。
しかも食べ物で宥められるなんて、完全に子ども扱いだね。私ももう二十五なのに。
倉じいに誘われるようにリビングへ。
さすがにお茶は自分で用意しよう。そうしてる間に自分でも落ち着けるようにしないと。
二人分のお茶を用意してテーブルに向かうと、私の席には私が好きな醤油せんべいがすでに置いてあった。
「どうぞ」
「ありがとう。莉亜はそれでいいよな?」
「はい。ありがとうございます」
「どうやら落ち着いたみたいだな」
倉じいは先生をしていたからか、私の表情から気持ちを読み取るのがとてもうまい。
私がわかりやすいだけかもしれないけれど、本当に頼りになる人だ。
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