第19話 日常の中の非日常

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「何かあったのか?」 「えっと、まぁ、そうですね。何かあったかと言われれば、何かあったんですかね」 「んー? 大丈夫か?」  自分でも何言ってるんだろうって思った。  とりあえず落ち着こう。別にトラブルが発生したわけじゃないんだから。 「せんべい買ってきたから、それでも食べて落ち着いたらどうだ。莉亜が好きなものもあるからな」 「あ、はい。いつもありがとうございます」  倉じいの手には、見慣れたおせんべい屋さんの袋がある。  結局こうしてリードしてもらうことになる私。  しかも食べ物で宥められるなんて、完全に子ども扱いだね。私ももう二十五なのに。  倉じいに誘われるようにリビングへ。  さすがにお茶は自分で用意しよう。そうしてる間に自分でも落ち着けるようにしないと。  二人分のお茶を用意してテーブルに向かうと、私の席には私が好きな醤油せんべいがすでに置いてあった。 「どうぞ」 「ありがとう。莉亜はそれでいいよな?」 「はい。ありがとうございます」 「どうやら落ち着いたみたいだな」  倉じいは先生をしていたからか、私の表情から気持ちを読み取るのがとてもうまい。  私がわかりやすいだけかもしれないけれど、本当に頼りになる人だ。
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