第19話 日常の中の非日常

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「呉本くんとか陸くんは、何か欲しいものがあるって言ってましたか?」 「健太からは、電器屋でカメラ関連のアイテムの値段を見てきてほしいって頼まれたな。僕にはよくわからないから、とりあえず売り場の写真を撮ろうと思う」 「陸からはルーズリーフを頼まれたんだけど、最近の中学生はノートを使わないのかしら」 「ノートじゃなきゃダメってことはないだろうが、急にどうしたんだろうな」 「受験勉強を考え始めたんじゃないですか。学校用とは別に用意しておきたいって思ったんじゃないでしょうか」 「えー、そうなの? ちっとも受験生って感じがしないんだけど、ちゃんと考えてるのかしら」 「中三生は夏休みになると途端に目の色が変わるからな。そろそろ陸も本腰入れるんじゃないか」  私は後部座席にいて、運転席と助手席にいる二人の表情は見えないんだけど、今はどんな気持ちなんだろう。  倉じいだってずいぶん長く陸くんを見てるんだから、我が子を見守るような気持ちもあるはずだよね。  どっちかと言うと、静子さんよりも真剣に陸くんの受験を考えてそうだし。
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