第19話 日常の中の非日常

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 そう言えば、私以外のみんなは父の日の贈り物ってどうしたのかな。  カナンは両親とうまくいってないって言ってたからたぶん何もしないだろうけど、四季さんや呉本くんは準備できてるのかな。  昨日は場の流れで大人二人に相談する形になったけど、私と歳が近い人たちにもリサーチしておくべきだったね。  私が一人でそう反省をしていると、車がショッピングセンター内の駐車場に入ったことがわかった。  平日の昼間でもそれなりに混雑しているようだ。 「帰る前に食料品売り場にも寄らせてもらうわよ」 「もちろんだ。ビールの箱買いもしておきたいからな」 「え、じゃあ、お二人の用事が済んだら教えてください。たぶん私が一番遅くなると思うんで」 「それはいいけど、急がなくてもいいのよ」 「食品売り場に三人で行く必要もないからな。そのへんは臨機応変に対応だな」  私からは言えないけど、どうやら二人とも私のギフト選びに付き合ってくれる気配はなさそうだ。  みんなでリビングにいるときにも全然話題にならなかったし、こういうのって一人で決めるものなのかな。  家庭の事情みたいなものもあるだろうし、あんまり気にしないほうがよさそうだね。  そんなわけで、到着して車を降りてすぐに、私たちは各自の目的に合わせて別々の行動をすることになった。  今日は楽しむっていうよりがんばらないといけないね。
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