第19話 日常の中の非日常

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「すみません。私、そんなに変でしたか?」 「ちょっと変だったな。少なくとも、普段通りではなかったよな」  うぅ、やっぱり変だったんだ。  たまたま通りがかったのが倉じいでよかった。 「それで、何があったんだ? 僕でよければ、話なら聞くぞ」  倉じいはお茶をひと口飲んでから、自分用のおせんべいの袋を開けながらこう言った。  倉じいが好きなのはわさびせんべい。  私も食べたことがあるけれど、割としっかりとわさびの風味があって、癖になるのはわかる。 「じゃあ、いいですか?」  私が遠慮がちにこう言うと、倉じいは何も言わずに笑顔でうなずくだけだった。  こういうところも先生っぽいっていうか、話しやすさを感じさせてくれる。 「さっき急に、父から電話があって」 「それは珍しいことなんだな?」  倉じいはおせんべいをひと口食べて、すぐにテーブルに置いた。  食べながら聞く話じゃないと思ったのかな。 「そうですね。こっちに来てから母とは何度か電話で話はしてますけど、父と話をするのはかなり久しぶりでした」  仲が悪いということはないんだけど、緊張はした。  割と厳しいところがあるから、父と一対一で話すのはあまり得意ではない。
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