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「すみません。私、そんなに変でしたか?」
「ちょっと変だったな。少なくとも、普段通りではなかったよな」
うぅ、やっぱり変だったんだ。
たまたま通りがかったのが倉じいでよかった。
「それで、何があったんだ? 僕でよければ、話なら聞くぞ」
倉じいはお茶をひと口飲んでから、自分用のおせんべいの袋を開けながらこう言った。
倉じいが好きなのはわさびせんべい。
私も食べたことがあるけれど、割としっかりとわさびの風味があって、癖になるのはわかる。
「じゃあ、いいですか?」
私が遠慮がちにこう言うと、倉じいは何も言わずに笑顔でうなずくだけだった。
こういうところも先生っぽいっていうか、話しやすさを感じさせてくれる。
「さっき急に、父から電話があって」
「それは珍しいことなんだな?」
倉じいはおせんべいをひと口食べて、すぐにテーブルに置いた。
食べながら聞く話じゃないと思ったのかな。
「そうですね。こっちに来てから母とは何度か電話で話はしてますけど、父と話をするのはかなり久しぶりでした」
仲が悪いということはないんだけど、緊張はした。
割と厳しいところがあるから、父と一対一で話すのはあまり得意ではない。
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