「ただいま」は「おかえり」のあとに ⑥

第１９話 日常の中の非日常

「これなんて特に人気ですよぉ。黄色のひまわりに白い花を合わせてるんで、初夏を感じさせる爽やかな装いになってますよねぇ」

　童話に出てきそうな木製の買い物かごみたいな容器に、鮮やかな黄色のひまわりをメインに真っ白なバラが添えられていて、とても綺麗だった。

「こういうのって、このままプレゼントしていいんですよね？」
「そうですねぇ。手渡ししやすいようになってますし、もちろん郵送もできますので、父の日の朝に届くように手配される方も多いですよぉ」

　最初はそのつもりだったけど、せっかく会うんだから直接渡したいよね。
　これなら持ち運びもそんなに大変そうじゃないし、いいかも。
　お父さんはこれを持って電車に乗ることになっちゃうだろうけど、しかたないよね。

「ちなみに、こんなふうにいろいろ飾り方をアレンジすることもできますよぉ」

　私が無言でうなずいていたら、店員さんは少し離れてチラシのようなものを持ってきてくれた。

　それにはもらった花束を部屋に飾る方法がたくさん書いてあって、どの写真もとても見栄えがよかった。

　大きくて立派なひまわりは、大きな花瓶やバケツを使って無造作に活けるのがいいとか、色鮮やかなひまわりは透明なボトルに一輪挿ししてもいいとか、おしゃれな飾り方がたくさんあった。

　私が特に印象に残ったのは、ひまわりの花の部分だけを取って丸いガラス鉢に浮かべるものだ。
　長持ちさせる方法の一つとして紹介されていて、何度か切り戻しをして茎が短くなったら試してみるといいらしい。