第19話 日常の中の非日常

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「すごいですね。こんなにたくさんの楽しみ方があるなんて、知りませんでした」 「そうでしょう? もらったままただ飾っておくだけじゃもったいないですから、ぜひこのチラシも一緒にプレゼントしちゃってください」  もらったチラシをバッグにしまい、改めてここで買うことを決意する。  ただ、どれもこれも素敵で目移りしてしまう。 「父の日にお花をあげるのって初めてなんですけど、迷っちゃいますね」 「みんな綺麗ですからねぇ。お父さんの好みがはっきりしているのならそれに合わせちゃえばいいと思いますけど、そうでないならお姉さんの好みでいいと思いますよぉ」  うちのお父さんにはこれといった好みはないと思う。  店員さんの言う通り、私が自分の部屋に飾りたいものを選んじゃおう。 「じゃあ、これをお願いします」 「わぁ、素敵ですねぇ。お姉さんはなんとなくそれを選ぶんじゃないかって思いましたぁ」 「え、そうですか? よくわかりましたね」 「だって、それを目にしたときの表情がとってもよかったですもん。ご自分用にもいかがですかぁ」  そんなにわかりやすい顔をしてたんだ。  でも、まさに自分用にしたいって思ってたくらいだし、これで決まりだね。
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