第19話 日常の中の非日常

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「確かに私も欲しいですけど、とりあえず一つでいいです」 「わかりましたぁ。では、こちらにどうぞ」  私が選んだのは、小さめのひまわりにブルー系の花を多く組み合わせたもので、麦わら帽子をひっくり返したようなかごの器もかわいらしくていいと思った。 「お持ち帰りしますか? 郵送しますか?」 「持って帰ります」 「それじゃあ、持ち運びしやすいようにしておきますねぇ」  店員さんはそう言って、口調とは裏腹なとても素早い手つきでラッピングを施してくれた。  そのときの表情もとても楽しげで、私は終始気持ちよくお買い物をすることができた。 「はい、どうぞ」 「ありがとうございます」 「お会計は三千三百円になりますぅ」 「えっと、ちょうどで」 「はぁい。ありがとうございますぅ。お気を付けてお持ちくださいねぇ」  ひまわりのような笑顔の店員さんに見送られて、私はお店をあとにした。  自分用じゃないけど、持ち歩いているだけでも明るい気持ちになれた。
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