第19話 日常の中の非日常

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「どこかいいお店あります? できれば静かな雰囲気のところがいいんですけど」 「あるぞー、隠れ家的なところが」 「それ、教えてもらっていいですか?」 「もちろん構わないが、莉亜にはちょっと難しいかもしれんな」  私には難しいって、どういうことだろう。  隠れ家的なお店なら、そんなにお金がかかる感じはしないけど。  倉じいは自分のスマホを使って何かをし始めたから、私は黙ってその様子を見守ることにした。  こういうときにおせんべいを食べていいのかどうかがわからない。 「ほら、ここなんだが、わかるか?」  倉じいが見せてきたのはお店の地図だった。  難しいって、そういうことね。 「えっと、大里駅の向こう側ですね?」 「そうだな。徒歩五分って書いてあるが、そんなに遠い気はしないな」 「…………」  私はなかなかの方向音痴で、見知らぬ土地では簡単に迷子になるし、地図があっても目的地にまっすぐ行けないことが多い。  それはもう住民のみんなが知っているから、こんなふうに言われることも増えてきた。
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