第19話 日常の中の非日常

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「そうだなぁ。今回の顔合わせの目的によるんじゃないか」  それでも倉じいは、一つも嫌な顔なんてしないで、すぐに私の話に取り合ってくれた。  こういう場面では、だいたい私の考えが少数派になることが多い。ここは倉じいの言葉を聞こう。 「目的、ですか?」 「あぁ。さっきの話からするに、今回はたまたま親御さんがこっちに来ることになったから、ちょっと顔を見せようって感じだよな」 「そうですね。その通りです」 「それならどんな店でも構わないと思うな」 「えっと、どういう場合には、知らないお店は避けたほうがいいってなりますか?」  少しは自分で考えろって言われちゃいそうだけど、倉じいはすぐに答えてくれた。  こういうときの倉じいは、先生っていうよりおじいちゃんって感じだ。これは言ったら失礼になるのかな。 「莉亜に会いに来るのが一番の目的だったら、避けるべきだろう」  言われてすぐになるほどって思った。  だけど、私の思い違いがあったらまずいから、確認はしておこう。 「仕事のついでとかじゃなくて、私の様子を見に来るってことですよね」 「そうだ。一人暮らしを始めた娘を心配して会いに来るのなら、普段の生活になるべく近いものを見せてやるべきだろう」  私の思った通りだった。  今回はそういう話じゃないから、知らないお店でも大丈夫ってことだね。
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