第19話 日常の中の非日常

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「そのときこそ、ここに来てもらうべきですよね」 「はっは、そういうことになるな。さっきはうちに来るのか聞いたが、いくらなんでも急すぎるよな」  私の心の準備だけじゃなくて、大家である四季(しき)さんの都合もあるし、ごはんを作ってくれる静子(しずこ)さんにもちゃんと話しておかないといけないもんね。  今の私に一人暮らしをしているという感覚はない。 「私の親がここに来るのは、たぶんずっと先ですね」  私がこう言うと、倉じいはお決まりの「そうかそうか」を出して、残っていたおせんべいを食べきった。  これでこの話も終わりかと思った私は、このタイミングで自分のおせんべいを食べることにした。やっぱりおいしい。 「あ、そうだ。もう一つ、いいですか?」  私がこう言うと、倉じいは目を細めて嬉しそうにうなずいてくれた。  本当にみんな、私の話を温かく聞き入れてくれる。 「父に何か贈り物をしようと思うんですけど、どういうものがいいですかね」 「贈り物? なんだ、誕生日でも近いのか」 「あ、いえ。次の日曜日が父の日じゃないですか。せっかく会うんだから、父の日を待たずに直接何か渡せたらいいかなって」 「あぁ、今週がそうか」  倉じいはカレンダーを見ながらこうつぶやいた。  倉じいのことだから、父の日のことも当然頭に入ってると思ってたから、この反応は予想外だった。
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